アカペラの賞レースにおける審査方法について考えたこと

この記事は「アカペラアドベントカレンダー2019」14日目の記事です。
昨日の記事はたくたくたくやさん(@takuya_lavoce)の「アカペラアレンジ初学者に教えたい、個性溢れるアレンジャーになる方法」でした。



はじめましての方ははじめまして。けんた(@tkhs0604_)と申します。
現在は「オトナリ」という社会人アカペラサークルに所属し、「窓の満月」などいくつかのグループでリード&コーラスを担当しています。

本記事では、アカペラの賞レースにおける審査方法について考えたことを書き連ねています。
内容はあくまで個人的な考えとなっておりますので、読んでくださる方はあらかじめご了承いただけますと幸いです🙇‍♂️


きっかけ

タイトルの件について考えるきっかけとなったのは、11/24(日)に行われた「A cappella Spirits! EX 社会人全国大会」でした。私はこの大会に「窓の満月」のメンバーとして出場いたしました。
結果を残すことはできませんでしたが、いいステージで歌うことができ、また多くの方に演奏を聴いていただけたこと自体が嬉しかったです。

ですがその後、応援に来てくれた妻と自宅で話したり自身で振り返る中で以下のようなことを思いました。


このツイートには予想外に多くの反応をいただきました。
中には合唱界隈や吹奏楽界隈の方々からの意見もありました(「界隈」という言葉が適切かはさておき…)。

ちょうどこの頃にアカペラアドベントカレンダーの記事執筆のお声がけをいただいたので、これを期にタイトルの件について改めて考えてみました。
※冒頭にも申し上げましたが、以下に記載する内容はあくまで個人的な考えとなっております!


アカペラの賞レースの審査について

審査方法とその特徴

さまざまな方々からお話を伺った内容を参考に、アカペラの賞レースの審査方法とその特徴を整理してみました。
アカペラの賞レースの審査のほとんどは、以下の3つのいずれかの方法に当てはまるのではないでしょうか。

審査方法 特徴
被審査側の納得感 審査側*1の影響度 審査側*1の負担
採点
投票 順位あり*2
順位なし*3

※1: 審査を観客が行う場合も審査員が行う場合も含んでの総称
※2: 審査側が1位、2位…と順位付けをして投票する形式
※3: 審査側が順位付けをせず1つ以上のグループを選択して投票する形式

私個人としては、大学生の頃からアカペラの賞レースに出るのが何となく嫌でエントリーすることはほとんどありませんでした。
この「何となく」は「音楽で競うということ自体がナンセンス」といった感情から来ていると思っていたのですが、今回改めて整理してみて「審査結果に対して納得感のあるアカペラの賞レースが少ない」という理由だったのかもしれないと思いました。

最近は、賞レースを「認知度を上げるための手段」として自分の中で割り切って考えることができるようになったので、エントリーする機会はだいぶ増えました。
ただ、実際に出場したときのことを振り返っても、何がよかったのか/足りなかったのかが客観的に分からないということがほとんどです。

賞レースは出場者に優劣を付ける要素を含んでいるので、他のグループと比較して

  • どの程度の差があったのか
  • その差が何によるものか

というフィードバックが得られると、次回もエントリーする動機につながりそうだと個人的には感じました。


審査のタイミング

もう1つ、審査のタイミングの話があります。
審査のタイミングは基本的に

  • 各グループの演奏終了後
  • 全グループの演奏終了後

のいずれかだと思います。

賞レースというものは「いかに公平性を担保するか」が重要と個人的に考えています。
しかしながら、アカペラの賞レースはタイトなスケジュール感で進むことが多く、全グループの演奏終了後に審査を行うケースが少なくないのが実情です。
ただ、人間の記憶力はそこまで優れていないので、時が経つにつれて前半のグループの演奏は(よほど印象的でない限り)忘れてしまう人が多いと思います。

母校贔屓をするわけではないですが笑、例として、出身サークルである「das Lied」のサマーライブの審査員をOBとしてさせていただいたときの審査方法は

  • 各グループの演奏終了後に採点+コメントを行う
  • 採点結果から偏差値を算出して評価する

といったもので、先ほどの表における「採点」を発展させた形のものでした。
審査の時間はかなりかかりましたが笑、誰にとっても結果が明白に分かり、次につながる改善点も見つけられたのではないかと思います(改善点のアドバイスに関しては審査員の力量に依存する部分も大きいですが…)。


イベント運営と審査方法の関係

ここまでは賞レースの審査方法自体の話にフォーカスしてきましたが、イベント運営という観点から少しだけ審査方法について考えてみます。

当たり前ですが、賞レースを開催するのには費用がかかります。それも数十万、数百万という単位で必要になります。
この費用は一体どこから捻出されているのでしょうか?

アカペラに関しては、出演者と観客がこの費用を賄っています。
協賛団体が付いているイベントもありますが、地域振興系のイベントや一部の大規模イベント以外はほぼこの構造かと思います。

このため、アカペラの賞レースでは出演者からエントリー費や出演費を頂戴し、観客の「投票」による審査を採用することで観客の参加数を上げるものが多いのではないかと思います。
とはいえ、各イベントはできるだけ敷居を下げ多くの方にエントリーしていただけないと継続が難しくなり、一方でイベントそのものの質も担保する必要があるという大きなジレンマを抱えているのだろうとも感じました。


最後に

まとまりのない文章で恐縮ですが、アカペラの賞レースにおける審査方法について考えたことを書き連ねてみました。
本記事が少しでも「アカペラの賞レースをよりよくするためにどうしたらいいか」を考えるきっかけになれば幸いです。


明日の記事はハラコウサクさん(@vega_hanrock)の「クリスマス特集〜アカペラで歌われる賛美歌と英詞の日本語訳〜」です。お楽しみに!